法律賃貸トラブル

漏水事故編 身近で役立つ法律クイズ

はじめに

私の友人で弁護士の先生からクイズを伺いました。

法律で、貴方の実力を試してみましょうね。

クイズ問題 漏水事故の件

7階建てのオフィスビルの所有者の大樹さん(仮名)が相談に来ました。

6階のテナントが、7階のテラスに冷暖房の外部ユニットを設置して、その際に、ユニットを覆っていたビニール袋が入った箱を放置されていたようです。

先日、台風が来た時に、箱の中のビニールが飛散し、排水溝を塞ぎ、 テラスが冠水し、7階室内に雨水が流入してしまったそうで、7階の賃借人は、ビル所有者の大樹さんに賠償責任を求めているようです。

大樹さんは、賠償義務を負うのでしょうか?

 

回答選択肢

  • 賠償義務を負う
  • 賠償義務を負わない

 

正解

  • 賠償義務を負う

 

解説

東京地判昭和57年7月28日

賃貸建物の所有者は、所有者として、また、関接占有者として、工作物責任を負う立場にあり、これは無過失責任とされています。

したがって、建物の設置又は保存の瑕疵を賃借人が生じさせた場合であっても、これによって第三者が損害を被った場合には、所有者は、損害の発生が不可抗力であるときを除き、当該第三者に対し責任を負う可能性が高いです。

民法717条1項

土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があったことによって他人に損害を生じたときは、その工作物 の占有者は、被害者に対して、その損害を賠償する責任を負う。

ただし、占有者が損害の発生を防止するのに、必要な注意をした時は、所有者がその損害を賠償しなければならない。

 

6階のテナントは、責任を負わないのか?

 

◎責任を負う可能性が高いです。

 

但し、物件の所有者は、7階の賃借人に対し、6階のテナントに請求してもらうべきで、自分は 支払わないとは言えません。

なぜなら、工作物の責任は、損害の原因が他者に存在する場合であっても、当然に免れるものではなく、ただその損害の原因について責任を負う者がいる場合には、所有者または占有者は、その者 に対し、「求償」を行うことができるに過ぎない (民法717条3項)からです。


クイズ問題 漏水被害と原状回復の件

水道の蛇口を開いたまま、下の階に漏水被害を発生させてしまった江川さん(仮名)が相談に来ました。

下の階の住民の八島さんから、損害賠償請求があり、

①新規家具の買替に必要となる費用、

②仮住まい 期間のホテル代等を支払うと約束したそうです。

しかし、八島さんからは、壁紙を交換する費用も支払えと言われているそうです。

江川さんは、壁紙は、もともと一定期間で張替えが行われる以上、費用を負担する必要はないと考えていますが、支払いの拒絶ができるでしょうか。

 

回答選択肢

  • 支払いを拒絶することができる
  • 支払いを拒絶することはできない

 

正解は

  • 拒絶することはできない

 

解説

東京地裁平成4年3月19日 通常であれば、6年から8年で交換するクロスを、 2年で張替えざるを得なかったということであれば、4年から6年、その支出を早められている ことなるので、それが損害となります。

*内装や家具については、経年劣化や通常損耗に係る部分を回復する費用が含まれてしまうので、見積額全額の賠償はできないことが一般的です。

 

クイズ問題 漏水と売却価格の下落

マンションの売却をした川崎さん(仮名)が相談に来ました。

上の階のXが水道の蛇口を開きっぱなしにしたことが原因で漏水被害に遭ったので、川崎さんは物件を売却したそうです。

その時、6000万円での買付が当初あったのに、買主が漏水事故のことを知ったら、5500万円でなければ 買わないと言われ、5500万円で売却することになったそうです。

川崎さんは、売却差額をXに請求することができるのでしょうか。

 

回答選択肢

  • 差額の請求ができる
  • 差額の請求はできない

 

正解は

  • 差額請求できる

 

解説

東京地裁23年7月14日

不動産売買においては、売主と買主それぞれの思惑や経済事情、交渉内容、売却の時期等様々な要因により価格が変動し得る

⑵ そのため、評価額である6300万円で売れたはずだとの主張は採用できない。

⑶ しかし、6000万円での申込がなされていながら、 2週間後に500万円も低い価格で売買契約が締結されていることから、漏水事故の事実が買主の心理に影響を与え、売買価格の低下をもたらした。

⑷ 申込価格と売買価格の差額が500万円あることから少なくとも、その半分の250万円を評価損として認めた。

 

漏水事故がおきた物件であることを、仲介業者は、報告する必要がある?

 

→重要事項説明として明示的に列挙されているものではありません。

 

しかし、業界書式の物件状況等報告書などでは、浸水等の被害について報告事項の一つとして挙げているものが 多いです。

仲介業者が売主に対して、浸水の事実を認識しながら、 物件の状況等報告書の浸水等被害の欄には、「無」に丸 を付けたケースで、仲介業者の説明義務違反を肯定した 裁判例があります(東京地判平成24年11月7日)

 

 

終わり。

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